Macとの再会(2) - 標準化と差別化と

startmac #2

　Macbookを使い始めて最初に「?!」と思ったのは、タッチタイピング（キーボードを見ないで入力する）のためのキーボードにある印（これ何か名称があるのかな?）の位置だ。以前は確かにdとkのところにあった筈。中指を基点にしてポジションを決定する。これ実は密かに、私はすごく気に入っていたのに!

　弦楽器を弾く際、手のポジションと形というのは基礎の基礎で超重要だ。このポジションを決めるときにどの指を基点するかであるが、各ポジションの始まる音が人差し指にあたるし、人差し指は利き指であるため、人差し指を基点にする人も多いかもしれない。確かにその方が取っ付き易いのだが、一方「手の形」という点から見ると、自由度が高い分、手の形が定まりにくい傾向がある。その点、中指を基点にすると、中指が決まれば自ずから手全体の形が決まり、安定するので、この方が合理的だと思う。

　他のマシンが皆人差し指のところ(f, j)に"印"がある中、Macだけは中指のところだった。これはやはり人間工学を深く追求するMacならでは、と感心していたのに...。しかしどんなに理に適っていようと、標準化の重要性の前には譲歩せざるを得ない、ということか。確かに、マシンによって異なるのは困る。どっちでもいいから統一してくれ、というのもわかる。そして標準化は、技術的妥当性とか理に適っているとかいうことよりはむしろ、その時のマーケットの状況によって決まる。

　そういえば、今のMacって、Windows用だったアプリケーションもさくさく動くし、なんてったってCPUがIntelですからねー。以前のような互換性の問題って殆ど無くなっている。ここ10年もの間Windowsユーザだったのに、久しぶりにMacを使ってもストレスが無い。ExcelだってWindow Media Playerだって、あっという間にインストールできて（前者は試用版）すぐに動いた。これは喜ぶべきことだが、一方Macならではのものが少なくなる。

　標準化と差別化と...。殆どの場合排反事象である。両立しうる領域は、しかし、全く無いかというとそうではない。それは芸術の領域。例えば、演奏技術、録音技術がどんなに標準化されようと、ある演奏家の音はその人の音以外の何物でもない。Macの目指す方向はそこなのかな。

Comments

[投稿情報: しろとら]

はじめまして。
ホームポジションがD,K懐かしいですね。iMac以前まではそうだったのですけれど。
指をそっとおくと、中指薬指小指はkeyに乗り、人差し指は浮いてしまうので、中指であってほしいですよね。
Windowsに市場を奪われてしまっては、思いを曲げなければならないのも、致し方ないことなのでしょうけれど。
ご存じかもしれませんが、思想を受け継いでくれているキーボードもあったりします。
http://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/lite2mac/
打ちやすさを追求しています。ホームポジションもD,Kです。

Macの目指すところは、道具として使っているときに体の延長線上となること。使っているときに、いかに存在を忘れさせてくれるか。無用な意識を道具としてのMacに神経を割かなくて済むように。
作ったファイルを以下に簡単に見つけられるか。そんなところに心を配っていると思いたいです。単に見つかるのではいけないのですよね。

[投稿情報: Miya]

しろとらさん、同志発見！嬉しいです！

> 指をそっとおくと、中指薬指小指はkeyに乗り、人差し指は浮いてしまうので、中指であってほしいですよね。

本当にそうです。人差し指は守備範囲が広く結構動かしますからね。中指の方がずっと合理的ですよね。

ホームポジションがd,kのキーボードが市販されているのですね。存じ上げませんでした。ありがとうございます。

[投稿情報: しんちゃん]

私もこのホームポジションにかなりこだわっていました。
昔、ADBなキーボードを見せて「ほらね、Macのキーボード、ここが違うでしょ?」って得意げに語っていましたねぇ・・。

今年MacProにリプレースして、キーボードをBluetoothなワイヤレスなもの(でも使ってない)に取り替えたのですが・・もちろんしっかりf,jです。

ちなみに、私の標準キーボードもPFUのHHKなんですが・・・
残念ながら、このホームポジションはf,jです。
しらとらさんご紹介のHHK Lite2のMac配列に取り替えようかなぁ。
Winと共用してますが、おそらく大丈夫ですよねぇ・・・。

[投稿情報: 流しの戯言師]

端的に書くなら、標準化と差別化のトランジェントの中にだけビジネスのオポチュニティがある、んだと思います。平衡状態になっても中にいたら熱的死を迎えるだけ。昨今の言葉だとコモディティ化というやつでしょう。ビジネスに限った話ではありませんが。