同じ弦楽合奏団に属する演奏仲間がヴァイオリンの先生をしていて、ここ数年その教室の発表会のお手伝いをしている。お手伝いと言っても、生徒の合奏に通奏低音をつけたり、しめくくりの講師演奏で室内楽を一緒にやらせて戴いたり、というものだ。後はみんなの発表を聴かせて戴くのだが、これが楽しい。
まず、ザイツやヴィエニャフスキーといった、ヴァイオリンを習う人は必ず演奏するのであろう、しかし一般的にはあまり知られていない音楽を、山ほど聴くことができる。それぞれとても魅力的な曲だ。あぁ、ヴァイオリニストはこうやって上達して行くのだなぁ、と思う。
また、通常はレッスンも個別で、おさらいも当然各自の作業だが、一年に一回だけ、発表会のために皆が集まる。それぞれの一年を、それぞれ過ごして成長した姿は、とてもまぶしい。
もう一つ。これは日常的によく感じることなのだが、音楽は何故か、性別とか年齢とかいう属性、「○○らしさ」を、中和する、というか、超越する。音楽をやる男性は、女性のように繊細だし、音楽をやる女性は、男性のようにたくましい。また、子供は大人のように毅然とし、大人は子供のように純心にはにかむ。
今回の発表会でも、最年長者は63歳の男性だったのだが、発表前は子供のように緊張し、また弾き終わった後の照れたようなはにかんだ笑顔は、本当にあどけない少年のようっだった。また、小学校一年生の女の子は、軽微なミスをしてしまったのだが、その後すぐ伴奏者のピアニストに、毅然とリズムの取り戻しを合図して、殆ど音楽の流れを止めなかった。天晴れ!
私の二人の娘たちは、それぞれフルートとピアノを習っているのだが、この数年このようにヴァイオリンに関わったこともあり、次女が、「ヴァイオリンもやってみたい」と言ってきた。私の時間が平日は全く取れないため、それでなくてもおさらいがいつも不足。習う楽器を増やすのはどう考えても無理のような気がしたが、やりたいというならやらせてみることにした。案の定おさらいは全くもって不足であるものの、今回の発表会でヴァイオリンデビューを果たした。去年まではヴァイオリンを触ったこともなかったのに、今年はヴァイオリンでまがりなりにも曲を奏でた。ヴィブラートもなく、Position移動もないが、その音色は伸びやかで素直だった。これも感動。(親バカ)。
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