今更乍ら、であるが、興味深い記事がある。
「インターネットはインフラとして十分か?」という前村さんのコラムと、そのコラムの発端となった、"インターネットのインフラのあり方を探る"「ネット社会アーキテクチャー研究会」。内容は勿論充分読み応えのあるものだが、まずは、何といっても、今まで私もよく口にしていたインフラ、という言葉を、強烈に省みることになった。
まず語源であるが、"Infrastructure" - "Infra"はラテン語で下部を表すから、「下部にある構造」である。そして、下部にあるものを一まとめにしている、という意味で、水平統合的な概念と言える。
水道、鉄道、道路といった公共設備は当然インフラだし、コンピュータの世界では、アプリケーションから見た時の、データベースやミドルウェアといったものもインフラだ。また、(一昔前ではアプリケーション自体が通信処理も担うような構造もあったようだが)、ネットワークアーキテクチャとアプリケーションが切り離された今、ネットワークは当然インフラだ。"インフラ"はどのレヴェルにも存在し、また相対的だ。
だから、人によって、時と場合によって、インフラの意味が違う。VoIPといってしまえば、電話はIPインフラ上の一アプリケーションになる。一方、電話網こそインフラであり、インターネット(というかインターネット上のサーヴィスやアプリケーションをひっくるめて)はそのおまけ、という見方もある。
時々、人によって、時と場合によって、インフラ議論がかみ合わなくなるのは、この辺の相対性を、考慮から外してしまうからかもしれない。
そして、たぶん今考えないといけないのは、社会基盤としてのインフラだ。各所に、各レヴェルに、インフラは遍在しているが、社会基盤ということになると、単なる「下部にある構造」という訳にはいかない。それが「社会基盤」である以上、参加者の行動や行為を律する規範のようなものが必要になる。水道、鉄道は、限られた専門家によって制御・運営することにより、安全を保つ。道路には一般人も参加するが、そのためには免許を取らなければならない。
社会基盤としてのネットワークのあり方、という意味では、道路交通法が参考になるかもしれないですねー。
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