先日のエントリーは、最後の一文がちょっと安易に飛躍しすぎたかな、と思案していたら、やはり突っ込みを戴いた。(おかげで、飛躍を埋めるトライをしてみることができます。ありがとうございます。)
道路のアナロジーで道路交通法というと、ネットワークの利用者を法で縛り免許を導入する方向になっても道路運営者の自由参入のほうにあまり目が行かないかもしれないんですが、
インフラの運営を自由にすると、米国西海岸の電力供給不安定のような問題が起こる懸念が大きくなるわけで、それを避ける方向にしたいのであれば、インターネットを構成するネットワーク運営事業者を縛る方が妥当かもしれないんですが、河野さんはそうじゃなくて利用者の規範設計のほうが重要だとなさるのだろうか。
何かに比べて”より重要”、ということではないが、社会基盤としてのインフラなのであれば、参加者(ユーザも提供者側も)を律する規範のようなものはやはり必要なのではないかと思う。インターネットに関しては、特にユーザ側の規範に関して、不充分だったのだ。(当初はその道のプロしか使わなかったのだから、仕方ないか。いや、プロ用であっても「junet利用の手引き」というものがあった。ネットワークシステムの高度化・大容量化、そしてユーザの急速な増加・大衆化に追いつかなかっただけだ。)
ネットワークにつなぐ端末が、電話やTVのSet Top Boxといった専用機であれば、端末側の仕様規定とUNI規定があればよい。しかし、汎用のPCを接続する場合、ユーザのカテゴリを作り(例えば、1) client only、2) 自らがhostになる/p2pでファイル交換する)、2)の場合は、著作権保護法や分散システム概論等を網羅した資格試験を課す、とか。
ただ実際問題、Web2.0的と言われるアプリケーションを含めて、ユーザ側は殆ど1) client onlyでよい。YouTubeで著作権問題が発生しているが、管理者が削除できるので素性が良い。SNSも、google的サーヴィスも実は結構中央集権的である。またp2pであっても、skypeのようなものは、著作権違反の問題はないし、帯域は制御可能(通話はバーストしないし、必要とされる帯域は限られる)、ということで、場合によっては除外しても良いかもしれない。
すなわち、2)に該当するのは、かなりのプロフェッショナルユーズに限られる。このカテゴリに属するユーザは、プロフェッショナルの気概を持ち、よきNetizenたるべきだ。新約「junet利用の手引き」が必要だし、もはや草の根ではなく社会基盤なのであれば、ライセンス制にしても良いのではないか。
問題は、違反者を取り締まる術がないとライセンスの意味が無いことであるが、ユーザ認証やDPI(Deep Packet Insepction)技術を使えば、可能性はある。例えば、
・p2p software提供者は、p2p softをダウンロードする際にライセンス情報入力を必須とする。
・Service Providerは、常時、もしくは抜き打ちで、p2p trafficを検出し、ライセンス登録のない加入者からのp2p trafficを検出した場合は取り締まる。
なお、道路のアナロジーはほぼ賛同だが、一点だけ。道路には優先レーンもあるし、アメリカの高速道路では、一人乗りの場合優先レーンを通ってはならないルール、とか、混雑時には入力規制の信号もある。dumbなpipeである必要は、必ずしも、ない。
と書いておいて、見直すと、ちょっと規制により過ぎているかなぁ、という気がしてくる。まずはレッシグを読もう。(まだ読んでいませんでした。)
投稿情報: miya | 2006.08.19 03:24