すごい事件が起こった。
あのヨーヨー・マが、私の楽器を、弾いてくださった。しかも、何度も握手とhug and kissまでしてくれたのだ。
信じられないでしょう?私も未だに何が起こったのかよくわからない。
顛末を思い返してみる。
先日のエントリーに書いたとおり、昨日サントリー小ホールで本番があり、私たちはピアノトリオを弾いた。ちょうど同じときに大ホールではヨーヨー・マのバッハ無伴奏の全曲演奏会が行われていた。
今日の演奏会は、日本チェロ協会主催の催しだったため、それぞれのチームの演奏が終わった後、出演者のチェロ奏者全員でチェロアンサンブルをすることになっていた。そこに、昼の部の公演を終えたヨーヨー・マが現れたのだ。日本チェロ協会会長の堤剛先生が、少しだけ顔を出して下さるように依頼されたそうだが、そこは気さくでかざらないヨーヨー・マ。来たからには弾かないわけにはいかないな、と、輪に入ってくる。2nd celloの席に座っていた私がどうぞと楽器を譲ったら、"Oh, are you sure ? Thank you !!"と言うや、hug and kissの嵐。あー夢みたい。
チェロアンサンブルは本当に楽しそうに弾いて、それから会場の皆に「チェリストは世界中どこでもこうやって集まって音楽を奏でます。これは他の楽器ではなかなか無いことだよね。これもチェロという楽器の表現の可能性の広さを示していると思う。」と話した。それにしても、世界の頂点を極めている人なのに、何の権威感も勿体ぶりも無く、あくまでも気さくで自然体。稀有の音楽性と才能、そして人間としての魅力にあふれたこのヨーヨー・マという人物と同時代に生きることの幸せ。人間っていいな、音楽っていいな、などと歌いだしたくなるような気分。
さて、かなりの高揚感のうちに終わった演奏会であったが、今後に向けて、冷静に録音を聴いて反省をしておかなくてはならない。まず、ここは朗々と豊かに響かせたい、というところで、音がいまひとつ硬くなる。やはりどこかにまだ無駄な力が入っている。あと、次の音の出だしをきちんと弾こうとするあまり、前の音の処理がないがしろになってしまったところがあった。うー、これは悔しい。
しかし、全体の構成と持って行き方は、本番直前になってかなり良くなった。堤剛先生と堀了介先生が「よかったよ」と言いに来てくださった。勿論同業者に求めるような厳しさは求めていないがための発言であるが、まぁ壊滅的ではなかったということだ。共演の涌島さんと菅原さんには本当に感謝。
他の演奏では、森愛喜さん(Vc)とお姉さんの森朝さん(Pf)のデュオがとても素敵だった。お二人はドイツ(ケルン)に留学中で、愛喜さんは、しっかりしているように見えたが、何とまだ18歳とのことだ。リハーサルから見学させて戴き、音の出だしの表現、早いパッセージのさらい方等、非常に勉強になった。また、音楽的表現も基礎がしっかりできていてこそ、ということを再認識した。
こんにちは。
素晴らしい1日を過ごされた由、何よりです^^
ヨーヨー・マさんはいつも楽しそうに弾いていらして本当に素敵だなぁと思っているのですが、やはりお人柄そのままなのですね。
私も似た経験があるので、「歌いだしたくなるような気分」、わかるような気がします。
演奏会のご盛会も併せてお祝い申し上げます^^
投稿情報: アルマ | 2006.11.06 10:08