今年はカンファレンスに明け暮れる秋となった。
まず、10月初旬にあったのが、本社SPRTG(Service Provider Routing Technology Group)主催のIP Expert Meeting。オフサイトに一泊二日して、本社開発陣や少数のお客様とともに合宿状態となる。少し前まで、IP Expertと言えば、皆ある程度同じようなことに興味を持ち、同じような悩みがあった。しかし、今は違う。今回のIP Expertはそれが特に顕著に現れた。立場の違い、イデオロギーの違い、価値観の違い、文化の違い。主催者側参加者としては、もう冷や冷やのし通しだった。一部の参加者の方には不愉快な思いをさせてしまったかもしれない。面白がっていた人もいたけれども。
その後(10月中旬、Nanog直後)、Fred Bakerの来日に伴い、Janog有志での少人数でのWorkshopを行った。IPv6 multihome問題が議論の発端だったのだが、そうなるとやはりPA、PIという話になり、議論は、そもそものRouting & Adressing Architectureにまで発展、というか立ち戻った。
もうひとつ10月中旬に、これも非常に少人数で、BGPのworkshopをやった。場所はワルシャワ。
次にMPLS Japan。私はプログラム委員、かつ、「放送とマルチキャスト」セッションで発表した。マルチキャストとMPLSというのは、技術的にはそれまで対極にあったようなところもあり、このパラダイムの違う2つの技術の出会い→反発→収束(まだ途上)、ということ自体がとても面白い。私は、現在MPLS自体からは少し興味が離れているのだが、このテーマだけは割と長く追いかけている。
そしてIETF67@SanDiego。折角IETFに行っても、提案どころか開眼や着想もできず、プロジェクトがらみのミーティングで時間を費やしてしまっているのが現状だが、このモードを徐々に変えたいと思っている。いくつか"ふぉおお"(のだめ語)と思ったのは、NAT越え問題へのアプローチが山ほどあり、それが結構考えされられること(uPnP, STUN, ICE(これ今回初めて知った),SBC...)。IABで何やらarchitecture-discussなるMailing Listを作り、超そもそも論を始めたこと...、くらいかな。
その後は、Internet Architecture Forum。これは、内容企画立案、主催実行とも全て私がやらせて戴いている。Internet Architectureの根幹をしっかり見直し今後の進化を考えたい、というのが全体のテーマで、第6回目の今回は「Routing ConvergenceとProtection」と題し、Fast Convergence、Prefix Independent Convergence、IP FRRを取り上げた。お客様からもご講演を戴き、私自身も大いに勉強になった。ちょっと時間が不足気味なのと、やはり前提条件や、環境、バックグラウンド、動機等の、土俵を合わせるのがそもそも難しく、十分に議論を咬み合わせることができなかったのが反省点。ここはしかし、これからどんどん難しくなる。
で、今SanJoseにいるのは、NAG(Network Architecture Geek) Conferenceのため。これもclosedなミーティングで、お客様30名、Cisco15名、という規模である。(今回は何故か直前に参加者が膨れ上がり、お客様48名、Cisco合わせて80名近く、という数になった。)World Wideの主要SP/ISPのNetwork Geekが集まり、殆どInternal Meetingのノリで、オープンに意見交換する。日本のSP/ISPからも先進事例や試み、調査分析内容を発表していただき、非常に誇りに思う。
これで少し一段落する筈だが、1月はITRC、外部主催セミナーへのGuest、Janogと続く。(今回実は初めてProgram委員を引き受けたが、最近のJanogにはびっくり。委員の皆さんの情熱とVoluntary精神とInitiativeにはただただ頭が下がるのみである。日本のInternetも、つまるところ、こうやって運用されているのか。本当に、頭が下がる。)
カンファレンスは、いろいろな意見をやりとりし、いろいろな考えを聞けるので、勉強になる。後は、これを今後の仕事にどう活かすかが問題だ。
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