startmac #10
元々かなりの筆不精で、ようやく始めた Blogも1ヶ月に1~2エントリーというペースなので、Startmacモニターをさせて戴く際の条件、-モニター期間中に10本のコラム-を全うできるか、甚だ自信がなかった。案の定、最近のエントリーはMac関連ばかりになってしまったが、しかし、ぎりぎり駆け込みで、ついにこれで10本目のエントリー!何とか約束は果たせそうだ。
転職も重なったりしてドタバタの日々、一時はどうなることやらと思ったが、Macと再会し、Macとともに過ごした日々は、思いのほか愉しかった。モニターを終えるにあたって、印象に残ったことをまとめてみたいと思う。
●子供たちとMac
それまで見たことも無い、眩いばかりの真っ白いマシンを使い始めたものだから、子供たちが黙っている筈が無い。使わせて、使わせて、と、大変だった。子供たちのPCの使用は最低限にしているので、殆どの場合「ダメ」と断って来たが、ちょうど夏休みで時間の余裕があった時に、自由に使って良い日を設けたことがあった。
二人の子供たちが気に入ったのは、GaragebandとiCartoon。何も教えていないのに、勝手にいろいろ試して遊んでいた。特にiCartoonは傑作。自分たちの表情を内蔵カメラで撮影、自分たちが主人公の簡単なストーリーを作り、4コマ漫画のような(4コマとは限らないが)ものにまとめるのだ。これが、初めて触った子供にもできるくらい、簡単にできる。出来上がったストーリーは非常にアホらしいものだが、たぶん後から見たらよい思い出になるだろう。
ついでに、子供たちによる体験レポートを書いてもらおうと思ったが、これはボツだった。「画面の文字がきれいです。」とか、「デザインがよいと思います。」とか、通り一遍の褒め言葉ばかり。これではレヴェルの低いヤラセ記事になってしまうではないか。それにしても、子供たちというのは、自分に課されている期待役割を敏感に感じ取って行動しているのだぁ、と変なところで感慨を覚えた。今回も、体験モニターという状況をわかっていて、「良いことを書いた方がいいんだよ」とか言う。きっと日々の行動のいちいちが、学校の先生が何を期待しているか、親が何を期待しているか(親の場合は反抗して逆のことをするが)、ということに、意識的にも無意識的にも、基づいているのだろう。小さいうちは、自らの判断基準などというものはまだ無いから、当然といえば当然なのかもしれないが、何だか不憫でもある。
●ディジタル技術と著作権法
今回、.macにdigital libraryを作って公開しようとしたが、著作権で躓いた。しかし、このことは大いなる思索のきっかけになった。芸術とはなにか、創作とは何か、表現とは何か。
そして、現在に見るディジタル技術とインターネットの発展は、15世紀のグーテンベルグの印刷機の発明以来(!)の、情報流通・複製方法における大変革であるという事実。ネットワーク技術と音楽・芸術との双方に関わる身として、こんなにも興味深いテーマがあるであろうか!
という訳で、遅々とではあるが、俄然勉強し始めている。非常に良いきっかけを与えて戴いたことを、感謝している。下記は参考文献のリスト(まだ机に積んであるだけで未読のものも含む)。もう少し思索を深め、考えをまとめてみようと思う。
- 中山 信弘 「マルチメディアと著作権」
- 岡本 薫 「著作権の考え方」
- 福井 健策 「著作権とは何か?文化と創造のゆくえ」
- 名和 小太郎 「情報セキュリティ」、「ディジタル著作権」、「情報の私有・共有・公有 ユーザから見た著作権」
- Lawrence Lessig 「Code」、「Creative Commons」
- 白田 秀影 「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門」
- http://www.archi-music.com/tamaki/copyright.html
- http://www.yung.jp/hp/php/tyosaku.php
ところで、あまり関係ないのだけれども、先日ある大学に行ったら、講義関連掲示板に「レポートは手書きのみ許可」というメッセージを多数発見。引用もよいが、せめてコピペはやめろ、ということだろうか。うーん。:)
●技術と人間をみつめる - 第二ラウンド
私が技術者として駆け出しだった頃、開発環境はUnixだったし、PCはMacを使っていた。そして幾歳を経て、そして今回のMacとの再会。期せずして、初心・原点に立ち還ることになった。
さらに、ごく最近のIT部門からのアナウンスによると、会社支給のPCに、Macも候補に入ることになった!現時点では本社Sunnyvale勤務の技術者限定であるが、様子を見ながらカヴァーエリアを拡大する方針とのことである。ここ暫く、会社が支給するPCはWindowsのみ、というのが常識であったので、これは大きなニュースだ。やはり開発エンジニアからすると、Mac OS Xの開発環境は魅力的だし、遊び心をくすぐられるのかもしれない。
時期を同じくして職場が変わったこともあり、何だか私の職業人生も第二ラウンドに入ったような気がしている。気概を新たにして頑張りたい。
おはようございます。お疲れさまでした。著作権の話題では鋭いご指摘を拝読しました。まだ勉強を始められたところとご謙遜ですが、私は、大変生意気ながら、勉強をする前のこのご指摘を、どうか簡単に破棄しないでいただきたいと思いました。今一度拝読しましたがやはり重要なご指摘だと思いました。勉強前だからこそみえることというのもあると思います。
私事ながら私は、一昔前、小4から高3までを塾講師として相手したことがありまして、
>小さいうちは、自らの判断基準などというものはまだ無いから、当然といえば当然なのかもしれないが、何だか不憫でもある。
とのこと、よくわかります。読書感想文など主人公をどうしても「・・・はえらいとおもいました」って褒めちゃうんですよね(笑)。で日記の宿題だったんですけど「「朝起きて歯を磨いて・・・」というありきたりの出だしはやめてみましょう」と言ったら、小4の女の子なんですけど、お母さんのご指導つきながら、
「あたし、朝がよわいんです・・・」
という書き出しにしてきた子がいて(笑)、職員室で議論になりました。「こういうのもいかがなものでしょうか」と(笑)。
不躾に長いコメントを書かせていただいたりしたのに丁寧に応じて下さってありがとうございました。これからもちょくちょくおじゃまさせてください。よろしくお願いします。
投稿情報: bun | 2007.10.04 08:06
bunさん、示唆に富んだコメントありがとうございます。子供の「期待役割に応じようとする」本能(と書いてしまってよいかわかりませんが)についてですが、大人や社会が与える影響や教育というのが、どんなに大きいものかを考えると、結構空恐ろしいですね。
こちらこそこれからも宜しくお願いします。
投稿情報: Miya | 2007.10.04 12:34
bunさん、もう一件、著作権法に関して。
私もあの時の直感は変わっていません。ただ非常に恥ずかしかったのは、bunさんのように事前にきちんと調べて対処されている方もいらっしゃるのに、私は指摘されるまで気付かず、さらに、難しい問題であるにもかかわらず、きちんと勉強もせずに、書いてしまったこと。
もう一つは、芸術の世界でCreative Commons的なコラボレーションが成り立つのか、という問いに対して、答えが無いこと。やはりソフトウェアとは全然違う、ということは認めざるを得ない。
投稿情報: Miya | 2007.10.04 12:51
こんばんは。
>大人や社会が与える影響や教育というのが、どんなに大きいものかを考えると、結構空恐ろしいですね。
はい。しかもかといって何でもやれるようにしてやればいいかというとそうでもないところが子供の教育の何ともいえずスリリングなところですね。利き腕を作らないように両手ともよく使えるようにすると、いざ転びそうになったときに咄嗟にどちらを出せばいいかわからず怪我をしたり、はじめからバイリンガルにしようとしていろいろ教えていると何語も中途半端になる・・・がごとくでして。ああすればこうなる、で簡単に片づかないところが教育の恐ろしさであり、かといって誰も完璧になんてできないのさ、教育なんていらないのさ、というケセラセラの相対主義(アルムおんじ主義といいますか)ではすまないところもあり・・・そこがまた反面、携わるものの醍醐味でもありました。
何年かして教え子が遠くから声をかけてくれるくらい嘘のない感謝も珍しいので、そういうときには給料日以上に幸せでした。あの「せんせー!」が聞きたくてやっていたようなものです。あまりええかっこしいになってもなんですが。
芸術とソフトの違いについて、同感です。僕としてはMiya様にはもっと勉強「しない」でいろいろ書いていただきたい気持ちもあります(笑)。勉強はもう十分なんじゃないですか?(笑)。勉強してから書くものは、しばしばいろんな学説を並べて紹介するだけになりますから。しかもその勉強の元を取りに行こうとしたりて(笑)、動機がふと気がつくと不純になってたりして(笑)。おっともっともそんなのは私だけでしたか(笑)。
Au revoir!と今ジュネーブのフランス人とbun通中、第二外語仏語のbunでした(笑)。
投稿情報: bun | 2007.10.04 22:54
こんばんは。ひとつデジタルコンテンツの著作権を語るなら必見と言われている小倉秀夫弁護士のブログをご紹介申し上げます。
http://benli.cocolog-nifty.com/benli/
既にご存知でしたらあらかじめお詫び申し上げます。
投稿情報: bun | 2007.10.06 23:31
ごぶさたしております。たびたび恐縮です。サイドバーにリンクを貼らせていただいたのでご承認のお願いにあがりました。よろしくお願いいたします。
投稿情報: bun | 2007.10.16 10:23
bunさん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
著作権というテーマは非常に興味深いとつくづく思います。またそのうち報告しますね。
投稿情報: Miya | 2007.10.17 01:45
| 先日ある大学に行ったら、講義関連掲示板に
| 「レポートは手書きのみ許可」というメッセージを
| 多数発見。引用もよいが、せめてコピペはやめろ、
| ということだろうか。うーん。:)
:-) いやぁ、全くもってその通りです。
フルタイムの先生複数からも、「電子媒体提出のレポートから、いかにしてコピペを検出・防止するか」というポイントでお悩みと聞いたことがあります。
僕が某大学で持たしていただいている授業はとってもインターネットでデジタルな内容なのに、レポートは手書きです。今のところこれを考え直す気もないです。
投稿情報: maem | 2007.11.01 07:11