次女が私立中学校に入った。小学生を塾漬けにするなんて全く私の眼中になかったが、本人が周囲に影響されてか私立校を希望したのと、「両親共働き → 早々に帰宅されても家に人がいない → (本人はピアノとヴァイオリンを弾くが)近隣の公立中学校には吹奏楽部しかない →....」というのっぴきならない事情で、受験することになった。
弦楽・管弦楽の活動がある中学校は、なぜか(無駄に)偏差値が高めである。このことに気づいたのが小学5年の暮れだったので、「今からではかなり遅いと言わざるを得ない」と、さんざん苦言を呈された挙句何とか受験塾に入れてもらい、その後塾漬けの日々が始まった。平日は隔日夜9時までみっちりで、さらに宿題も出る。楽器を弾くために受験するのに、受験のために楽器も弾けない、というのは、まさに本末転倒である。そして土日は、試験とその結果によるクラス再編と席替えが毎週行われる、という日々。隣机の友さえライバルと意識付けられ、情操面の配慮などあったものではない。夏休みも、お正月も、連日狭いビルに閉じ込められてお勉強。しかし、目的が明確なときの人間は強い。半ばあきれながらも、遊びたい盛りの小学生なのに男の子も女の子もみんなよく頑張っている姿には感動するものがあった。こちらも身が引き締まる思いになったし、何よりも、代数を学ぶ前の鶴亀算、時計算、ニュートン算、旅人算などはすごく頭の体操になり、面白い。
で、何とか乗り切って今に至るわけであるが、その次女が、ことあるごとに、「そんなの教えて貰ってない」とか、「まだ習ってない」とかいう。長女はこれほどではなかったので、これはもしかしたら、常に解法のパターンを叩き込まれ続けた、お受験の弊害ではないだろうか。
「予め教えてもらえることなんてほんの一握り。自分の頭で考え自分で何とかしなさい。」と言うが、なかなか改まらない。今朝もまたそんな話になったので、「産まれたばかりの赤ちゃんのときは、何も知らないのに、毎日新しいことを楽しそうに覚えて行ってたよね。何でかな。」と言ってみた。そうしたら、「いつから、知らないことが楽しくなくなったんだろう」と真剣につぶやいていた。
自問自答することはよいことだ。赤ん坊のように、新たなことを知ること愉しんでほしい。そして、答えのないことを考えることを愉しんでほしい。そういえば、自分だって、新たな領域にチャレンジするときに知らないことが多いのは苦痛である。でもその状況を楽しもう。
なんとタイムリーなお言葉いただきました!ありがとうございます!今ドイツ南のチェロの講習会の助っ人に来ています。今夜はブラームスのソナタ2番の本番です。
投稿情報: NaokoSonoda | 2011.08.10 01:03
チェロの講習会、ブラームスのソナタ2番、いいなぁ!Naokoさんのピアノも聴きたい!未知との遭遇(?!)、愉しんでね。
投稿情報: Miya | 2011.08.10 11:00
知らないから知る楽しみがあるってものですね!
投稿情報: しげまてぃー | 2011.08.12 15:09