人間がことばを使うようになる。これはすごいことだ。
最初のうちは、「あーあー」「ぶー」「うくん」と、自分の意思で発音できることに気付き、そのうちそのことを誇らしげに周囲に伝える。「ほら、わたし、声が出せる!」とでも言っているように。
次に、意味のある言葉を発する。「まんまん」(たべものかな)、「ぱっぱ」(おしゃぶり)。最初のうちは単語だけれども、それがだんだん二語文になる。
さらに興味深いのはその後だ。これは個人差もあるのかもしれないけれども(実際、長女と次女では多少違った)、でも、かなりの数の子供に共通していると思う。
- 文字逆転
何故かどうしても逆転してしまう言葉があるらしい。これは、本人が意識して直そうと思うまでは、直らなかった。(あまりにもかわいいので、親としては直さないでおこうと思ったが、本人が勝手に直した。でも今でもたまーーに間違えて言ってしまうこともある。)
- おさかな → おかさな
- おくすり → おすくり
- ポップコーン → コップポーン
- コップ → ポック
- テレビ → テヴェリ
- かいもの → かいのも
......
ある日、大型電気店に連れて行ったときに、「わぁー、テヴェリドロケー」と言われて、一瞬訳がわからなかった。「テレビだらけ(テレビがいっぱい)」。
- 鏡文字
これも不思議である。子供の頭は一体どうなっているのだろうと思う。どうしてもさかさまに書いてしまう文字があるのだ。「ま」とか「よ」とか、結びがある文字が尽く左右反転する。また、何故か「け」「と」「く」といった、割とシンプルな形の文字も左右反転する。あまりにもきれいな鏡文字なので、風呂場のガラスに書かせたり(逆から見ると普通の文字に見える)、実際に鏡に映したりして遊んだ。書こうと思ってもそう簡単に書ける物ではない。
- 活用
どうも子供は聞いたままを覚えるだけではなく、文法の構造を覚え、活用させようとするらしい。活用なんて教えないのに、勝手に活用するのだ。びっくり。
例えば、「知ってる?」と訊くと、「知ってない」と答える。「知ってる」(正しくは「知っている」かな)を、否定形に活用させているのだ。正しい。でも、この場合「知らない」という方が慣用である。普段無意識に使っていたが、そういえば質問と応答で文法が呼応していないではないか...、ということに気付かされた。
また、「○○できる」ということを言いたかった時に、「○○する」という動詞を、可能形に活用させようとして「○○すれる」と言った。そう、普通「れる」「られる」をつけると可能形になる。しかもサ行変格活用までできている。しかし、そういえばサ行変格に可能形はないんだなぁ...、ということに気付かされた。
- 造語
5歳くらいになると、自分で勝手に言葉をつくる。自称「○○○語」(○○○は自分の名前。)傑作なのは「みだりぎみ」。使用方法例:「おかあさん、これ"みだりぎみ"になってないよね?」。前述のように、子供は言葉をさかさまにし、鏡文字を書いた。また、ピアノで「ファーミファソーファミ」と弾くところを、「ファーソファミーファソ」と弾いてしまう。一体脳の構造がどうなっているのか、とにかく、どうしてもさかさまになる”つぼ”のようなものがあった。このことを、本人は「みだりぎみ」と命名した。訳を訊くと、「みだり」は「みぎ+ひだり」のことで、「ぎみ」は「みぎ」のさかさま、ということだ。左右の混同と、語順の混同による混乱ぶりをよく表していて、感心した。
子供の能力はすごい。。。でも一つ、実験に失敗したことがある。それは、外国語だ。まだ日本語が充分にわかっていない(と思われる)2歳や3歳の頃、「きっと日本語で聞かせるのも、外国語で聞かせるのも同じだろう、それなら今のうちから英語に慣れさせよう」と思って、出張のたびに、せっせと英語のヴィデオを買ってきた。ストーリーはピノキオとかシンデレラとかおなじみのやつ。しかしこれがてんでダメだった。言葉で話せないときは態度や身振りで、言葉が話せるようになったらあからさまに「日本語に変えて」と言った。うー、ヴィデオではだめなのだ。親や周囲が話しかける言葉でなくては。。
昔、はてな人力検索でこういう質問をしたことがありました。
http://q.hatena.ne.jp/1102768076
しかし、ウチの子の言葉遊びここまで徹底していないな。
投稿情報: maem | 2006.07.03 09:55