考えることは多いのだが、それを書き留める時間も無く、時が流れて行く。ヤバい。(少しでも書き留めておくために、Blogを始めたのではなかったか。うぅぅ。)
先日のエントリー(「インターネットのこれから(2)」)で、いくつか思いつく方向性を書いたが、いかにも突っ込み不足である。現実は、もっと深く、かつ、より急ピッチな検討を必要としている。
1) トポロジー論
The Internetは、自律的に成長するネットワークであるから、A.L.BarabasiのいうところのScale Free Network(*)を形成する。
(*) Scale Free Network
- 成長する(=動的モデル)
- 優先的選択(=次数の大きい頂点に枝が優先的に集まる)
→ 次数の分布はべき乗則に従う
Scale Free Networkは、偶発的な災害には非常に強い、という特性を持つ。各地で地震等天災が起こった際、電話網は不通になったがインターネットはつながっている、ということは実際に何度か経験したと思う。また、経路情報の粒度が比較的粗いまま、経路最適を実現し易い、という特徴も持つ。世界のどこにいても、数ホップで殆どのMajorなサイトにつながるのだ。
一方、意図的な攻撃には弱い。「優先的選択」により巨大なハブとなった大手町が、テロリストに狙われたりしたら大変なことになる。また、Janog19でのパネルディスカッションなどをきっかけに、大手町が地震被害にあった時のリスクアセスメントの必要性が問題提起されている。
このScale Free Networkと対極を成すのが、ホリスティックで計画経済的な、電話網やNGNの設計であろう。しかし、ではインターネットもこうすればよい、という訳には行かない。まず、Scale Free Networkの良い面が、もっと吟味されなくてはならない。航空路線網もScale Free Networkであるが、東京一局集中が問題だからと言って、飛行機を鉄道網のように飛ばすのはナンセンスだ。また、「ホリスティックで計画経済的」、というのが成立するのは、せいぜい国家のレヴェルであろう。グローバルにこれができるだろうか。技術的には可能だとしても、誰が?と言う問題が残る。
2) 経路爆発問題、アドレス、アーキテクチャ
2006年10月のIABワークショップをきっかけに、アーキテクチャの根本見直し論が始まってしまった...。
日本では、IPv6の検討が早く進んだこともあり、コミュニティとしてはIPv6推進機運が強いし、社会全体を見回しても、いまだに「IPv6推進派」と「そうでない派」しかなくて、議論に深みが無い。推進派は「早くしようぜ。何が問題なの。」というばかり。そうでない派はしかし、有効な反論ができていない。Multihomeにしても、「PIでいいじゃん。とりあえずは。」
確かにそう思う。まずは実践し、フィードバックし、漸進するのが、evolutionというものだ。根本的に見直しなんてしたところで、机上の空論ならよいが、実践するのは容易いことではない。
ただ、しかし、世界の主要なPlayerが本気で根本見直しを進める可能性もゼロではなく、そうだとするとこの状況はちょっとまずい。日本のコミュニティとしても、しっかりキャッチアップしてリードしなくては。
3) トランスポートはコモディティ化するか
究極的にはYesであろうが、それがいつ、どのような形態で、というのは、よくわからない。これについては、別途書くつもり。
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