日ごろ接する時間が少なく、ダメダメな母親であるが、将来子供が大きくなって、仕事や技術のことを聞かれたら、きっと、わかりやすく、面白く、興味を感じてもらえるように話してあげよう、と思っていた。願わくは、それで親としての面目を少しは施せるかもしれない、などという期待もあった。
そして子供は大きくなった。...というか、予想以上に早くインターネットを使い始めた。今や小学校低学年から「Yahooきっず」を教える授業があるらしい。しかし、しかし。面目を施すなんて思惑は完全に外れた。それどころか、情けなくも、あまりの出来事に、オタオタするばかりである。
「○○を調べてくるように、という宿題があるんだ。パソコン使っていい?」と言われた時、少し迷ったけれども、うちには百科事典もなく(そういえば昔の家庭には百科事典というものがあった。実際、実家では書斎兼居間の壁一面が百科事典+各種辞典だった)、確かに調べ物には便利なので、ローマ字かな変換方法と検索エンジン、そしてBookmarkの仕方を教えた。しかし学校で既に習っていたらしく、「そんなの知ってるよ」と言われた。
先日、娘たちがPCを覗き込みながら大笑いしているので、何かと思ってみると、何と「おもしろフラッシュ」なるものを探し出してきているのだ。「これ、面白いよ。お母さんも見てごらん。」と言われ、見てみると、「楽しい国語。(先生)「”あたかも”という言葉を使って短文を作りなさい。」(生徒)「冷蔵庫に牛乳があたかもしれない。」。。。迂闊にも「おおお」と面白がったら、「こんなのもあるよ。」「こんなのも。」と次から次へ出してくる。面白がっている場合ではない。「いい加減にしなさい。おもしろフラッシュは禁止。パソコンは一日30分以内!」
「何で?」と訊かれても、気の利いた答えなんて無い。「面白いものもいっぱいあるけれども、有害なものももっといっぱいある。大体、長時間パソコンに向かうのは、眼に悪い。頭に悪い。しかも時間の無駄。」というのが精一杯。「でも、お母さんはズルい。お母さんはずっとパソコン使っている。」そうなのだ。たまに在宅勤務の時や、仕事を持ち帰るとき、私はほとんどPCに向かっている。メールでのやりとりは勿論、資料を書くときも、計画を立てるときも、動作解析やデバッグするときも。「お母さんは仕事なの。」と言っても納得できない様子。
これはつい最近のこと。一体どこから覚えて来たのか、「すごい、すごい」と言ってYou Tubeに登録されているアニメを見まくっているので、のけぞった。ポピュラーなものからニッチなものまで、見たいものは大抵あるらしい。勿論画面は英語だが気にしない。検索は日本語でできるから何にも問題ないのだ。あまりのことに何と言おうかと考えあぐねていると、「のだめのアニメ版もあるよ」、と言われ、思わず見入ってしまった。こらこら。。。最低限の注意をしておこうと思い、「時間の約束を守れるのなら『見るな』とは言わないけれど、You Tubeには、著作権法という法律違反の可能性があるものも多いから気をつけて。」と言うと、「見るだけでも罪になるの?」と聞かれ、「うぅぅ。」。。のだめを嬉々として見たばかりの私は口ごもる。
さらにもう一つ驚愕の事実。子供たちにはインターネットのメールアカウントは与えていないが、長女には、親側の都合もあり、携帯を持たせている。契約の際、パケット定額制にしようかとも思ったが、敢えて従量制にした。この方が毎月の使用状況を親が把握できるし、本人にもコスト意識を持って貰えると思ったからだ。「月5千円を越えないように気をつけようね。」最初の数ヶ月はこれで上手く行っていた。しかし、暫く油断していたら、何と、先月の使用料が6万円を越えた!!ひぇぇぇ。理由を訊くと、「友達から画像をたくさん送って貰った...」とのこと。はぁぁぁ。6万円稼ぐことがどれだけ大変かなんて全く分かっていない子供が、どんなに斟酌しても6万円の価値があるとは到底思えない携帯の画像データに費やしてしまうなんて、もう、嘆かわしくて情けなくて、言葉もない。いや途方にくれている場合ではない。長女には猛省を促すとともに、今後は何らかの制限を強制せざるを得まい。
「インターネットって何?」とか、「ネットワークってどうなっているの?」とか子供が聞いて来てくれたらどんなふうに答えよう、と、あれこれ思い描いていた夢が、ガラガラと崩れ去った。まぁ無理も無いか。家中でWifiが届き、PCを立ち上げれば勝手にIPアドレスも貰ってくるから、何もしなくてもつながるのだ。ATコマンド使って、オフィスやNiftyのアクセスポイントにdialupして、そこからUNIXにログインして、とか、X.28でホスト選択してNiftyにつないで....、とかいうことが必要だったのは、そんなに昔のことではなかったのに!
(所感)
1) 大半の今の子供にとって、「インターネットとは何か」とか、「ネットワークはどうなっているのか」とかはどうでもよい。TVという箱で動画プログラムを視聴できるのと同様に、PCという箱でインターネット検索・閲覧ができる。(そのうち情報発信とか始めるのだろうが、暫くは禁止。)携帯電話でもいろいろできる。それだけだ。
2) 一方、倫理面、法律面、社会面...、は、多少この業界に関係する私でさえも、全くよくわかっていない!!
3) You Tubeはどれだけ見てもタダなのに、携帯でちょっと(?)画像を貰っただけで、お母さんに激怒された。なぜだろう。理不尽だ。(by 子供)
初めまして。ブログ興味深く読ませていただきました。
それはインターネットが社会インフラとしてのある程度の地位を確立したことを意味しないのでしょうか?
僕ら自身もまた水道から水が出ることを自然に思うように、彼らもまたPCから(家庭の)外部の情報を得ることが出来ることは自然である。と思っているのだと思います。
携帯についてはどうなんでしょう?
投稿情報: Tom.H | 2007.03.07 04:22
Tom.Hさま、
そうですねー。でも、「インフラとしての地位確立」以前に日常化・普遍化してしまったような気もします。使い方も、我々が想定しなかったものになるかも。後世畏るべし。
携帯についてですが、どうも子供は、リアルタイム通話は殆どしません。親がかけるくらい。
投稿情報: Miya | 2007.03.07 23:04
インターネットについては、確かに教えるのが難しいですね。
しいていえば、「世の中の人たちとの距離を縮めるもの。入ってみたら、いきなり歌舞伎町だったり、賭場だったり。怖い人もいれば騙す人もいる。かわいい顔して怖い人、いい人そうで騙す人も。(昨今のかわいいアイコンウイルスとか)相手との直接のやりとりになるので、親はかばってあげられない。場合によっては警察のお世話になることも。」てなところなんでしょうかね。
そうやって考えると、親としては、アプリケーションFW的なもの(=子供と他人の間に入るもの)って何かいるのかなぁと思っています。河野さまのところにも、ヤリイカ+ホワイトリスト(=見れるところ限定リスト)的な環境が必要?(詳細は私信で)
あとは、ネットサーフィンとゲームと仕事の違いを教える、PCは単なる道具(文房具?工具?)であるということを教える、というところでしょうか。作成途上の英語の資料とか英語のサイトとか見せると効果的かもですね。
投稿情報: [email protected] | 2007.03.09 11:54
Wataruさま、
具体的なアドヴァイスありがとうございます。やっぱりURL filtering必要かなー。一方、自分自身で情報を選別する力と適切なコミュニケーションをするためのリテラシーも身につけて行って貰いたいと思います。あと、内部のしくみがどうなっているのかを探求する心も。
この辺は、しかし、基礎的な思考能力や倫理観の問題かもしれず、「インターネットを教えよう」として教えられるものではないですね。
親にとってはさらに悩ましい。
投稿情報: Miya | 2007.03.10 00:40
はじめまして
Macモニター1期生のサンラブと申します。
2期生さんたちのモニターブログをお邪魔してて思わず惹かれるタイトルに大きく頷きながら拝見致しました。
我が家も子供に諸事情で携帯を持たせていますが突然高額請求になったことを経験しました。便利ですが危険なことも沢山あるインターネットの世界を子供に教えるのは、本当に難しいと思いました。
投稿情報: サンラブ | 2007.05.24 11:23