来月2月17日のおさらい会で、ハイドンのC-durコンチェルトを弾くことになった。(一応希望の曲を訊かれたので、ブラームスのOp.78(「雨の歌」...作曲者自ら編曲したと言われるチェロ版)と言ったら、やはりけんもほろろに一蹴された。バロック、古典を一通りしっかり弾いてからにしろ、ということだ。)しかしそれでも、ハイドンのチェロコンチェルトは素晴らしく奥が深い。相当なテクニックも要求されるので、それをどの程度きちんと正確に弾けるか。そしてその上で、光を放つような音色が出せるか。
楽譜は、メジャーなのはHenleの原典版とInternational版だと思うが、Internationa版にも、Milos Sadlo校訂のものと、Milos Sadloを基にしたRostropovich校訂版の2つがあり、私が持っているのはRostropovich版である。ロストロ先生のフィンガリングとボウイングは、「おおお、そうくるのか」というのが非常に多い。弓先での逆弓。低いポジションと高いポジションとのシフトの多用。親指のポジションでも、並行移動ではなく、なるべく低いポジションから使わせようとするし、フレーズ内でのポジション移動も辞さない。極めつけは、三楽章の206-207小節でのA線でGを弾きながらD線でメロディを弾くところ、何とA線のアーティキュレーションとD線のアーティキュレーションが違う。これはいくらなんでも不可能だ。でも気持はわかる。違うパートなのだから。
でもせっかくのロストロ先生の指示なので、できるだけそれでさらって持っていったら、師匠に「こんなのロストロだからできる弓さばき・フィンガリングで、普通は無理。サマにならない。」とあっさり言われて、結局、オーソドックスなMilos Sadlo版に殆ど戻された。えーん。せっかく正月休み返上でさらったのに。弾きにくいかなぁ、と思いながらも、一旦はこれで暗譜してしまったので、これから修正するのが大変。しくしくしく。
という訳で、巨匠による校訂(ボウイング・フィンガリング)には要注意だ。巨匠だから、という訳ではないが、後進を育てるような目線で校訂する場合もあれば、「自分だったらこう弾く。どうだすごいだろう。」という感じで校訂する場合もあるのだろう。今回のロストロ版ハイドンコンチェルトは、後者に近いかもしれない。
あとは、カデンツァをどうするか。ロストロ先生版も、カデンツァに関しては、Milos Sadlo版をそのまま使っている。これもオーソドックスでよいのだが、以前聴いたL.Kantaのカデンツァが非常に印象深く残っている。現代的(というかジャズ的)な和声を使っていて、古典の音律に戻るときに違和感を感じるくらいなのだが、これを部分的に拝借してアレンジしようかと思っている。(ところで、他人のカデンツァを耳コピ、というのは、厳密には著作権侵害になるのだろうか。公演は当然非営利なので問題にはならない筈であるが、どうしよう。)
本番まで一か月を切ってしまい、またその間出張もあり、さらう時間の確保が困難だが、何とか頑張ってみるつもり。決してなんとなく弾けた気になるのではなく、細部に渡って基本に忠実に、しっかり弾くことを目標にする。
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