自慢ではないが、ADHD(注意欠陥多動障害)気味の私は、よく物を落とす。特に、手荷物が3個以上になると、何かしら落し物をする確率が非常に高い。だから荷物の多いときはかなり自分自身に気合いを入れて、頭の中に点呼リストを作り、出発の時、乗り換えの時に、チェックをするようにしなくてはならない。しかし、ついついボーッとしてしまうとダメだ。仕事でもそうで、あることに集中すると他のことが*全く*見えなくなるので(幼児か)、プライオリティ順位を付けたTo Do Listを、目に入るところにおいておかなくてはならない。
先日の日曜日は朝から雪で、楽器(チェロ)と、譜面台と、譜面やMDや何やらを突っ込んだトートバッグと、傘を持って出なくてはならなかった。この時点でかなりヤバイ。午前中はピアニストの友人とピアノ合わせ、午後は弦楽合奏の練習だった。一つの外出で用事が二つ、というのは、情報処理が複雑になり、さらにヤバい状況に拍車をかける。さらに、そのピアニストの友人は、本職はピアノの先生なのだが、パンづくりが趣味で、時々手作りパンを作って来てくれる。(この友人の手づくりパン、本当においしい。子供達も夫もあまりに感動して食べるので、私も、と、パンづくりの本を買ってきたものの、挫折している...。)この日は、くるみ入りフランスパンを戴いた。
という訳で、楽器、譜面台、傘、トートバッグ、そして、戴いたパンの入った紙袋を持ち、電車を乗り換えて、弦楽合奏の練習場に向かう。気合いも少し薄れてきて、さらに、弦楽合奏の練習に初めて参加するメンバーと駅で待ち合わせをする、という、新たなタスクも加わり、もうヤバ過ぎる状況。やはり、案の定、着いたら譜面台が無かった!電車の中に置いてきたのだった。
譜面台で済んだのをよしとすべきだろうが、その譜面台は超軽量で、ケースにチェロの形の七宝焼きのブローチを付けてあって、とても愛着があった。藁にもすがる思いで、JR落し物センターに電話すると....、見つかった!!どなたかが届けて下さったのだ。
実際これまで何度となく落し物をしているが、かなりの高い確率で戻ってくる。多少金目のものであっても、だ。こんなこと、外国では考えられないのではないか。例えば、きちんとしたホテル内であっても置き引きやスリが横行する。注意散漫な人間などいいカモである。外国にいる時は、常に緊張し、気合いを入れまくらないといけない。
日本という国、国民性、社会については、日頃いろいろ言いたいこともあるが、すばらしいところもあるなー。感動。無論「衣食足りて礼節を知る」であるが、落し物は届ける、という奥ゆかしいDNAが、広く行き渡っているのだろう。そういえば、幼少のころ、5円や10円玉を拾って交番に届けると、お巡りさんが「エラかったね」、と頭をなでてくれて、お駄賃に飴を貰ったりした経験がないだろうか。こうやってDNAを育んで行く。勿論、不注意な落し物は、しないにこしたことはないのですが。
ちなみに、JR東日本の落し物センターは、下記URLをご参照。
http://www.jreast.co.jp/info/wasuremono.html
http://www.jreast.co.jp/press/2003_1/20030601.pdf
落し物が全てデータベース化されているので、電話一本で検索してもらえる。ありがたいことだ。但し、今回の場合は、3回目のトライでやっと見つかった。譜面台というカテゴリーが無かったのか、何をキーに検索してよいかわからなかったらしい。従って、一見して分類不能なものの検索は、担当して下さるサーチャーのセンス(?!)に依存する。件の譜面台は、黒いナイロン製の細長いケースに入っていたのだが、なんと「黒いかばん」として登録されていたそうだ。
感動…。
投稿情報: Naoko | 2008.02.07 20:19
落し物が帰ってくる日本のすばらしさと、3回トライする河野さんの根性に感動です:)
投稿情報: shtsuchi | 2008.02.12 15:12
その昔、河野さんをはじめとして、数人で米国各国を旅した、きなぽんぱぱです。わたしも財布を5回も落としていますが、全て無事に手元に戻って来ています。日本もまだ、捨てたもんじゃないですよね。
投稿情報: きなぽんぱぱ(別名、和尚さん) | 2008.02.27 19:12