算数は主に具象的なものを扱う。数学は主に抽象的なものを扱う。そんなことを再認識した。
現在小学校5年生の娘が、ひょんなことから、もしかすると中学を受験するかもしれないことになった。私は学問に関しては本人の自覚に任せてよいと思っていたので(音楽は別)、これまで勉強は放任してきた。今からでも間に合うのか。かなりヤバいかも。
取敢えず過去の入試問題でも見てみよう、と問題集のページをめくると、やはり結構手強そう。最初の計算問題が、問題用紙の横一杯に長い。今まで塾にも行ったことがなくて、分数の加減乗除もまだやっていないという、超原始的な娘にどうやって教えればよいのか。
ひとつひとつ教えて行くしかない。しかし、変なところで躓く。例えば、 A-□=B のような形になって、Aを両辺からひいて -□=B-A にする、というところで、どうも納得できない様子。娘 「この一番左の"-"は何?!」 私「へ?何ってマイナスだよ。」 娘「???」。そうか。これまでは"-"というのは「何かから何かをひく」というアクションを表す演算子として理解していたので、被演算対象が無くなってしまうと混乱するのだ。さてこれをどう教えるか。1)数直線を書き、0を境に、「左側はマイナスの世界、右側はプラスの世界。マイナスの世界の数字には、数字の前に符号"-"が付く」、と教える。2)"-"のつく数字は、「ある数字に"-1"をかけたもの」、という、単項演算子として教える。1)は算数の領域、2)は数学の領域だろうか。でも、両方必要。
抽象的な操作に慣れてしまっていると、却って具象は難しい。うっかり娘に、「だから移項して」とか言ってしまって、顰蹙を買った。移項は操作法であり本質ではない。「お母さんは教え方が下手だ。」と言われる。まったくだ。ごめんなさい。「何で、掛け算割り算を先にやって、足し算引き算は後なの?」という根本的な質問にもたじろぐ。「掛け算割り算は同じ項としてまとめられるけど、足し算引き算は別物なんだ。」「項って何?」「うーん、塊みたいなものかな...」とか言ってみるが、何だか全然説明になっていない。
でも、このように改めて根源的なことを考えるのは、結構面白い。以下雑感。
- 抽象的な思考、操作は、生産性を飛躍的に向上させる。
- しかし抽象化したレヴェルで閉じてしまうのはよくない。具象的なものとの相互作用や関連付けが必要。
- 具象と抽象は、現実と仮想に通じるのかも。
「お母さん、何で"-"がつくの?」
「さぁ、何ででしょう~~~?」
口が裂けて『お母さんも分からな~い』なんて言っちゃ母親失格でしょうか。(ドキドキ)
い、今からドリルやっとこうかな…。
投稿情報: Naoko | 2008.11.02 04:58
-□ は 0 から □の数 を引いた数字だと言う教え方は、わかってくれるものなのかどうなのか。
0-□=B-A だよ。。。うーん。
これは抽象なのか具象なのか。。。うーん。
投稿情報: mwtr | 2008.11.06 18:29
Naokoさま、
国際結婚したら、根源的なことをいっぱい振り返る機会があると思うよ。楽しみー。そいえば、演算子の後に非演算対象を書く方法を「逆ポーランド記法」というのだけれど、何でかな。
mwtrさま、
"0"自体が既に、結構抽象度高いのですね....。「無」って何だ?存在することの反対概念。じゃ「存在する」って何?.....ここで.唯物論と観念論の永久ループに突入する。
しかし、算数って面白い!数学は抽象的操作だけで問題を解くけれど、方程式を使わないという制約により、抽象と具象を行き来できる。これはハマります。
投稿情報: Miya | 2008.11.11 01:23
こんにちは。時々おじゃましております。
素晴らしいです。私など子どもが高学年のころには、なんだかうまく教えることはできなくなっていました。
中学受験は、ご存知かもしれませんが、塾では、だいたい中学校で教わるものをがっーと詰め込みます。
ですから、受験には時間があるほど余裕をもって記憶する作業ができるそうです。
だから3年生から中学受験へ向かって塾通いする子も多くなっていますね。
うちはもちろん親の根性がないので、中学受験は、考えませんでしたが。。。
いや、娘の時は、あまりにも公立学校で生きにくそうだったので、頭をよぎりましたが、娘が「いい」と言ったのでやめました。
これからのお嬢さんの時代は、とてもたいへんだと思います。
すみません、お初なのに長々となりました。
投稿情報: momoriko | 2008.11.23 16:08
momorikoさま、
メッセージありがとうございます!方程式以前の算数って本当に面白い....。でも面白がっている場合ではないようです。私は週末しか時間が取れなくて、しかも、こんな調子で一つの問題に時間がかかってしまうため、受験に対応するにはとても間に合いません。結局N能研に通うことになりました。しかし想像以上に大変な世界ですね。認識が甘かったです。後日改めて報告したいと思います。
投稿情報: Miya | 2008.11.24 01:27