思えば売り言葉に買い言葉がきっかけだった。
とある本番にエントリーするための曲決めで、師匠と口論になった。私の師匠はこの辺非常に厳しく - ものごとには順番というものがある。○○が弾けていなくては、△△を弾いてはいけない -、曲決めの時のトラブルは、実は日常茶飯事である。私は当時、シューマンの「アダージオとアレグロ(op.70)」がどうしても弾きたかった。「(師匠)この曲は今は無理だ。ただ弾くだけで自己満足するのでよければ勝手にすればよいが、それでは意味が無い。」「(私)これから本番まで毎日しっかりおさらいしますから。」「(師匠)毎日ってったって、あと一ヶ月しかないでしょう。しかもまた海外出張もあるんでしょう。」「(私)サイレントチェロを買って、出張時も練習します。」
「出張にもチェロを持っていきます。」というのは意外だったようだ。「それだけ言うのだったらやってみなさい。」と、珍しく許可がでた。狂喜乱舞した私は、早速オンラインでサイレントチェロを注文。楽器が響かない分、却って基礎練習には良い面もあった。あー、これなら夜中でも弾けるではないか。何でもっと早く手に入れなかったんだろう、とも思った。それに、何といっても頑丈そう。これなら飛行機の荷物室にぶちこんでも壊れそうも無い。(普通のチェロを飛行機で運ぶ場合は、座席を一つ確保する必要がある。しかも、航空会社によっては、人間よりも運賃が高いことがある。何と、格安ディスカウントは人間にしか適用できないため、正規の子供料金の適用になるのだ。)
あれから何年たったのだろう。結局あの後も、殆どの海外出張には、サイレントチェロを持って行くことになった。出張中は、翌日の準備や、日本でのActivityのフォロー等のため、あまり自由時間が取れないのだが、それでも、ホテルに帰ってPCを起動している間、とか、時差で朝早く起きてしまったときに、そこに楽器があっておさらいできるというのは、すごく嬉しいことだ。
しかーーし、やはり飛行機の荷物というのは、尋常でない扱いかたをされる。さすがに頑丈なサイレントチェロも、今は見る影も無くぼろぼろになった。うー、いくらなんでもかわいそうだ。涙、涙、涙。
1.割れた駒、2.90度捻じ曲げられた膝あて、3.割れた本体、4.ケースにも穴が貫通
ええええーっつ!こんなになってしまうのですか!
最近のBritish Airの機内にはヴァイオリンですら持ち込めないらしく、みんな下の荷台行きだそうです。
そしてベルトコンベア-から出てきたりしてしまうそうです(><)
大変ですね。。
投稿情報: Naoko | 2006.08.29 16:03
> Naokoさま
いやー、楽器の貨物室行きは絶対ににお勧めできません。Fragileのタグを付けまくっても、効果なし。Priorityタグも、効果なし、でした。まだジャンボだとましなのですが、小さい飛行機だと、空間が物理的に狭いので、尋常でない圧力がかかります。また、最近はセキュリティチェックのために無理やりこじあけられることも多く、折角タオルで丁寧に巻いておいたとしても、それもはがされてしまいます。。。
投稿情報: Miya | 2006.08.30 09:16